感脳小説 悶々劇場
読んで…… 感じて……
「それじゃ、気をつけてな…」
「わかったわ…」
「彼によろしく伝えてくれ…」
「はい…」
あと数時間…。
久しぶりの日本。
私の母親の法事で、一週間ほど滞在する予定。
飛行機の窓から、下界を見下ろす。
もうすぐ…。
私達夫婦が、アメリカに渡って約二年…。
ふと、思い出した。
「あの子…元気でやってるかしら…」
そんな事を思いながら、シートを倒して、仮眠をとった。
そして、到着を待った。
「お客様…」
客室乗務員が私を起こした。
「シートベルトを…」
「ありがとう…」
日本に到着した…。
アメリカと違って、日本は慌ただしさが違う。
すべての手続きを終え、空港を後にした。
ハイヤーの窓からの景色…。
高速道路を走っている。
だんだん…。
懐かしい感じ…。
帰って来た!。
風の臭い、近所の人が『久しぶり』なんて、声をかけてくれる。
戻ってきた。
二年振りの我が家。
すぐに家に入るのが、少し勿体ない気がした。
近所を歩いてみた。
駅前まで…。
それから、商店街を歩く。
アメリカにはない活気。
日本に帰ってきた。
日本人に戻った気がした。
「懐かしいナ…」
たった二年…。
こんなに変わるものなんだ…。
すべてが新鮮に見えた。
そうだ!。
寄って行こう。
駅前のケーキ屋で、お土産を買って…。
「脅かせてあげよ…」
心が弾んだ!。
あの時、通い慣れた道。いつもの曲がり角…。
やってる…。
あらっ?。
お店の入り口…。
いた!。
お客さんと、外でお話しをしている。
コンビニの壁から覗き込んだ。
変わらない笑顔。
お客さんが帰った!。
彼が店に入ってしまう。
「お兄さん!」
声をかけた。
一瞬、わからない顔…。
みるみる内に、晴れやかになった。
「久しぶり…ネ」
「千代美さん!?」
今にも、抱き着かんばかりに駆け寄ってきた。
「いつ日本に?」
「たった今よ」
「なんだ!教えてくれたら迎えに行ったのに!」
「何言ってるの!仕事でしょ?」
恥ずかしそうに頭を掻いてる。
「お帰りなさい…」
「ただいま…」
本当に日本に帰ってきた。
ここも、久しぶり…。
早速彼に、顔を剃ってもらった。
温かいタオルが被され、だんだん気持ちよくなっていく…。
私の顔を、彼のカミソリが、滑っていく。
マッサージ…。
彼の指使い…。
最高に気持ちよかった。
開いた時間、お店のスタッフと会話…。
アメリカの話の質問責めにあった。
「もうそろそろ…」
「あっ!引き止めちゃって、すいませんでした」
マスターがにこやかに頭を下げた。
店を出て、少し歩いて…。
「千代美さ~ん」
彼が走ってきた。
「こっちにはいつまで?」
「一週間くらいかナ…」
「そうなんだ…」
少し淋しそう…。
「ちょっと痩せた?」
「わかんないっス」
「お酒ばっかり飲んでちゃダメよ」
ちょっとおせっかい。
「はあ…」
また頭を掻いてる。
「またネ…しっかりやんなさい」
「はいっ!ありがとうございました!」
「よし!」
ニコニコ笑って、手を振っていた。
「相変わらずネ…」
そして、我が家に戻った。
懐かしい…。
ハウスクリーニングを頼んでおいたから、部屋はきれい…。
ほとんどの物はないけど…。
あちこち見渡した。
甦ってくる…。
「ここ…あそこ…」
彼と乱れた記憶…。
二階の寝室。
「ここでも…」
私の主人が、クローゼットから出て来た時の…。
彼の顔ったら…。
「うふふ、アハハ…」
思わず笑ってしまった。
バサッ!。
ベッドに身体を投げ出す。
「楽しかったナ…あの時…」
軽く目を閉じ、思い出した。
彼の唇、吐息…。
温もり、そして…。
いつしか、私の手が胸を触っていた。
「あ…あ…」
起ってる…。
思い出してしまった。
ブラの上から…。
そして、中へ…。
硬くなった乳首…。
指ではさんでた。
キュッ!って…。
「はあっ…んっ!」
指先で転がした。
彼の舌使いが甦る。
「あっ!上手!」
声が出る!。
私の…熱くなって…。
触れた。
すごく湿ってる…。
そっと…ゆっくり…。
「あっ!あっ!」
電気が走った!。
止まらない!止められない!。
「あっ!あっ!あっ!」
私は私をかきまわした!。
「そ…そう!そこっ!ああ」
クチュ…クチュ…。
いやらしい音…私が出してる。
主人と彼が交互に映る!。
私を犯している。
私の指…。
いやらしく、キラキラ光っている。
しばらく、眺めていた。
指を離す…。
糸を引いてる…。
私が脱いだパンティ…。
クチャクチャに小さくなってて…。
握り締めた。
「切ないナ…」
そして、いつの間にか、眠ってしまった。
そして法事の日。
久しぶりの親戚と出会う。
今日終わればあとは自由…。
少し羽根を伸ばそう。
叔父や叔母にも挨拶が済んだ。
ホッと一息。
みんなが帰った後…。
一人、グラスをかたむける。
少し酔いが回ってきた。
やっぱり寂しい。
まだ、大丈夫かしら…?。
電話をかけた。
「元気?」
「はいっ!…千代美さん、どうしたんですか?」
すぐに出た。
まだ電話番号消してなかったのね…。
「ううん…別に…」
たくさん話した。
「ねえ…」
「はい…」
「明日…ウチくる?」
……。
「はいっ!行きます!」
「待ってるわ…」
「わかりました…お休みなさい」
「お休み…」
受話器を置いた…。
カッ!と、身体が熱くなった!。
キュン!となった身体を抱きしめた。
ソファに倒れ込んだ…。
思わず口に出した。
「うれしい…」
少女のように心が躍った。
今、この時から待ち遠しかった。
第二章へ続く…。
Author:緋色 唯
いらっしゃいませ。
緋色 唯の『感脳の世界』をお楽しみください。