感脳小説 悶々劇場
読んで…… 感じて……
少し現場から離れて、携帯をかけた。
手筈はととのっている。
俺の友人、『ヒロ』に電話をかけた。
奴はすでにスーパーに潜入させていた。
彼に商品のクレームをつけさせる。
わざと美里に店長を呼ばせて…。
美里が店長を呼びにいく!。
現場を見せる。
俺が奥さんを助ける!。
カンペキだ!。
うまくいくか!頼むぜ!ヒロくん。
うまくいったら焼肉おごるからな…!。
ドキドキするよ。
携帯が鳴ってヒロが行動にでると言った。
よし!見届けてやる!。
せいぜい楽しみな…。
バカエロ店長…。
また覗き、美里の出現を待った。
早く!早く!胸が高鳴る。
何も知らず一生懸命、奥さんを犯している。
ひひっ…もうすぐだ…あっ!店長の笑い方が移った?。
まだか!まだか!美里!早くこい!。
と、思った瞬間!。
勢いよくドアを叩く音!。
「店長!店長!いますか?」
美里だ!。
店長あせってる!。
ガチャッ!
ドアが開いた!。
「店長…!…?きゃーー!」
あわてふためく店長!。
「あっ!この!バカヤ…見るな!」
美里の声が響き渡る!。
さすがミュージシャン志望!。
デビューしたらCD買ってやるからな…。
奥さんのパンティを被って、ブラブラさせて、部屋を右往左往している。
哀れだ…。
店の連中がワラワラ入って来た。
その中にヒロも混じってる。
なんだ?なんだ?って顔をしている。
おかしい…笑った。
何人もいる従業員の中を割って入ってきたスーツの男性…。
赤い顔をして震えてる。
…責任者だな?。
店長は間抜けな恰好で土下座している。
ざまあみやがれ!。
奥さん、スキをついて逃げ出した!。
人込みを掻き分け、飛び出した。
よし!ここでヒーローの出番だ!。
俺は勇んで金網をぬけた!。
奥さん…僕が貴女を救いました…。
期待に胸と股間が膨らむ。
さりげなく彼女に近付いた…。
誇らしげに!。
「奥さん」
声をかけた。
びっくり顔の奥さん…。
さあ、僕の胸に飛び込んで…。
…と、思った瞬間!。
目の前に花火があがった。
バチーン☆★。
いきなりひっぱたかれた!。
あれっ?どして?奥さんスゴイ形相で俺を睨む。
「なによ!」
俺の襟首を掴んで引っ張る。
「なに?なに?」
近くの駐輪場に連れて行かれた。
「あ…あの…」
「せっかく!楽しんでたのに!」
はれ~?。
「えっ?えっ?」
訳分かんない…。
「なんでよけいなことするのよ!」
生真面目そうな顔して…。
おいおい…。
…なんでも、旦那の真面目な夜の営みに不満があったらしい。
よくある話だ。
少し変わったエッチがしたくなって奴を誘惑したらしい。
その最中を俺が覗いた…わけだ。
俺も聞いてみた。
「じゃあ、オレとしたのは?口止め?じゃなくて…」
彼女、クスッと笑う。
「あの時の見て興奮したでしょ?…オナニーするなら私がって…ちょっとサービス…」
呆気にとられた。
彼女、腕を組んで膨れっ面して、頭をかく。
「煙草ちょうだい…」
ありゃりゃ…。
フーッて煙を吐き出し。
「どうしよう…代わり見つけなきゃ…」
またですか!?。
「俺、ダメっスか?」
彼女、ケラケラ笑い出す。
何がおかしいの?。
あの時、散々悶えたのに…。
煙草を地面に落とし、踏みつける。
ニコリと笑って俺の鼻を突いて言う。
「あなたじゃ…や・く・ぶ・そ・く」
また一本煙草をねだり、帰って行った。
女って…恐ろしい生き物だ…。
ヒロが来た。
「いったいなんだったんスか?」
「わかんね…」
「ace☆さんの言う通りにやったら…男と女がヤッてんだもん!ビビッた~、ace☆さんにも見せたかったぁ~」
ポンッとヒロの肩を叩いて…。
「約束の焼肉…食いに行くか?」
「やたっ!さっきのあの娘誘って行きましょうよ!」
…まっ、しょうがないか…
三人で…。
もちろん!『食べ放題バイキング』の店。
散々飲み食いされた。
あ~あ…なんだかなぁ~。
あれから数週間…。
最近奥さんの姿が見えない。
旦那はいるんだが…。
近くの噂好きなババアに聞いたところ、不倫がバレて離婚したらしい。
…身から出た錆だナ…。
それから美里とヒロが付き合うようになってしまったそうだ…。
あの焼肉の日から…。
トホホだ…。
そしてまた、相変わらずガンプラを作る日々が続く…。
埃だらけのシンナー臭い部屋で、猫と一緒に暮らしています。
Fin
Author:緋色 唯
いらっしゃいませ。
緋色 唯の『感脳の世界』をお楽しみください。